皆様のコミュニティ活動の場としてご利用ください。
当館(大嶋家住宅)は1級河川奈良井川左岸の段丘地にあり、肥沃な松本盆地の主要部に位置し、松本市街地も近く、又周囲の山なみの見晴らしのこの上なくいい、快適な住環境です。
*段丘地で土地がよく肥え、農耕地として最適であります。
*段丘地のため、増水しても洪水の心配が殆どありません。
*地質は深い良質の粘土質のためか地盤が堅く、住居の基礎も簡単な胴突をしただけで十分であります。
現在、160年経ても敷居の水平は殆ど狂っていません。
信州特有の本棟造りの当館は、他の本棟造りにくらべ総体的にいくぶん大柄です。
主屋の広さは間口9間奥行き9間で建坪81坪、ほぼ正方形です。
大屋根は檜の割り板の板屋根でしたが、屋根材料が間に合わないため戦後瓦屋根に改修しました。
ところが瓦屋根では勾配があわないため豪雨の時など雨漏りが発生し1994年(平成6年)に銅板葺きに改修し現在に至ります。
切り妻屋根の正面と背面の端には雀踊りを付け、その下方の棟木の端に木製の懸魚を飾り、妻側の縁に沿って山形に破風(はふ)を付けて見栄えをよくしています。
それでも江戸時代の本格派本棟造りとして、風格と歴史的気品を留めています。
建物内の部屋は、上座敷、下座敷、カミオエ、ナカオエ、シモオエ、小座敷、仏間、寝間、居間、庫裏、納屋、馬屋、帳子場等で構成されています。
南側は濡れ縁になっていましたが、盗難や火災予防のため改修しました。
15畳の広間の面影あるナカオエを中心にして、上座敷と下座敷等が取り巻くようにして多室型間取りに形成されています。
下座敷の表正面には式台があり、法事のお坊さん及び結婚披露宴等の一元の来訪者の玄関として利用され、下座敷から上座敷に繋がっています。
式台の北隣にはくぐり戸の戸間口があり、招待客や近所の訪問者の出入口として利用されます。
上座敷と下座敷は客間に使用され、上座敷には床の間が設けられ欄間には宮大工・越取直四郎の巧みで素朴な彫刻が施されています。
ナカオエには自在かぎを吊るした囲炉裏が設けられ、家族の団欒の場所として使用されました。
ナカオエからは表二階と裏二階に上がる梯子があり、表二階の室内には建前の時に使われた木槌が飾られています。また、裏二階へ通じる階段は箱階段となっていて、裏二階は長い間お蚕様の部屋として使用されました。現在は居間としての住空間になっています。
南涯館が建築される前の住まいは、大きな内2階建ての茅葺の平屋であり同じ場所にあったとのことです。
その基礎工事は、胴突きの上に平石を無造作に置いているだけです。しかしながら、その地盤の土壌はコンクリートにも優る強度を持っているのです。柱の垂直度はやや傾いてはいるものの、敷居の水平度は全く狂っておりません。
先人の建築技術の高さと知恵には驚くばかりです。
建築材料としては、以前の住居に使用していた古材を再利用しているほか、新たにケヤキ・マツ・ヒノキ・スギ等の大木を使用していて、木曽の山林等から木曽川下流の奈良井川を利用して運搬したものと思われます。
主屋を囲っているコウヤマキ、シラカシそしてケヤキの大樹。樹齢200年から300年の大樹は南風の強風から主屋を護る役目を果たす屋敷林です。
特に天空に真っ直ぐに伸びているコウヤマキは、当主・大嶋家のご神木として祀られています。また、約1500㎡(450坪)の宅地内にある庭園は、サンシュウ、ツツジ、サツキ、ヒギリシマ、ツバキ、ウメ、サクラ、アンズ、カキ、ベニシダレ、モミジ等々、四季折々に花弁を咲かせ実のなる40種類ほどの樹木が植えられ、来訪者に信州の風情を楽しませてくれます。